債務整理中に新たなローンを組みたいと言ったらなぜ怒られるのか

いまとても悩んでいます。いわゆる多重債務で返済が滞りがちなのです。収入が激減したことが原因ですが、この際、借金をなんとかしなければ立ち直れません。債務整理を考えています。しかし債務整理をしても手元の資金が増えるわけではないので、同時に新たな借り入れもできないかと思います。虫のいい話でしょうか?

完済後に審査に通らないと新たな借り入れはムリ

多重債務から立ち直るのは大変な努力と忍耐が必要です。ぜひがんばってほしいと思います。しかしながら、債務整理をはじめた人は、新たな借り入れはムリです。また債務整理をしても完済していない間は難しいでしょう。完済してからあらためて申し込み、審査を受けて通るか通らないか、ということになると思います。

つまりまずは債務整理と完済。それができなければ次の借り入れは考えられません。まれに弁護士さんに任意整理を頼みに行った人が、新規のローンの話をして怒られることがあります。弁護士さんからすれば、依頼人の利益を考えて行動しますので、本当は怒ったりしたくはないのですが、あまりにも借金に対する認識が甘い人には、つい強く言ってしまうこともあるのですね。

というのも、借り入れについての自覚、返済計画を立てて実行する責任感が欠如していると思われたら、債務整理の相談に乗っても弁護士費用も払えない可能性があるわけで、せっかく力になろうと思ってもやる気が削がれてしまうのです。

まずは完済すること。そこにフォーカスをあてて取り組んでください。生半可なことではできません。そして、これができなければ失われた信用は回復しません。

たとえば債務整理にもいろいろな条件があります。貸した側、借りた側がどちらも満足する条件で、滞りなく完済できればベストです。しかし貸した側が不利な条件を飲んだ場合や、せっかく整理して返済計画を立てたのに実行されない場合などは、さらに信用を失い、その記録は長期にわたってつきまといます。

信用情報機関にあなたの借り入れと返済の記録が残ります。それは最長で5年と言われています。しかし、それも完済されていない、借り入れが残っている場合は5年経っても記録は残ってしまうことになります。そのような不名誉な記録があれば、新たな借り入れはまずムリでしょう。

新たな借り入れをするためには、債務整理に入ったら、できるだけ早く返済をすませることです。完済した記録が残っている場合は、それによってその時にあなたの就労状況、年収などを見て新たな貸出枠を認める貸金業者が現れるかもしれません。

この点で、完済後、5年以上経過してしまい、記録がまったく白紙になってしまうことが必ずしも新たな借り入れの審査で有利になるとは限らないことも事実です。

しかし、とにかく返済。借りたお金は返す。この原則を曲げなければ、未来が見えてくるはずです。

債務整理中の新たなローンへの申込みについて

複数の融資を受けながらも、返済不能に陥り、法的な処置をするのが、債務整理です。自己破産、特定調停、民事再生、任意整理の四つがあり、自分の状況に合わせ、選択するようになります。自己破産以外、過払い請求が主な整理方法であり、お金が戻って来る場合もあります。しかし、債務整理を行えば、各信用機関に事故歴が記載されるため、新たな融資を受けることが、ほぼ不可能になります。もちろん、ローンも含まれています。

ならば、債務整理中は、どうなのでしょうか?基本的に、債務整理中に返済義務が一旦中止となり、当然督促などを受けることもなくなります。逆に考えれば、新たな借金をすることもできません。仮に申込みをしたとしても、審査に通らないのが、関の山でしょう。けれども、債務整理の申込み直前にローンを組んだのであれば、利用できる可能性があります。基本的に、債務整理を依頼し、担当の法律事務所が各金融機関へ連絡した時点で、債務整理が始まったとされます。そうなれば、先述しているように、督促などが全面的にストップされます。しかし、連絡のタイミングによっては、金融機関の方でも審査を通してしまうことがあります。ある意味、債務整理中でも、新たな借金ができることと同様でしょう。ただし、返済不能でありながら、新たな借金ができることは、到底好ましいことではありません。たとえ通ったとしても、無理をすれば、再び返済負担に陥る可能性があります。

その点を重々承知しておくべきでしょう。なお、自己破産の場合、過払い請求がないため、一気に返済義務がなくなります。そのため、自己破産をする前に、あえて借金をするケースが考えられます。もし故意にこれを行えば、状況によっては、詐欺罪などが適用されます。しかし、自己破産申請日の約1ヶ月前までとなっています。それまでは、通常通り、カードローンなどを利用できるようになっています。これもまた、法律のユニークな面でしょうが、債務整理をするのであれば、誤解されないような行動もまた、大事なことでしょう。

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